鹿島槍ケ岳 天狗尾根 平成22年5月1日〜3日 丹波山岳会 メンバー=方山・菅谷・(須藤・神戸岳士会) | |
平成16年4月中旬に東尾根を訪れた時に比べ今年は雪が多く、しかも東尾根よりも難度が高く、さらに初心者を伴った我々がこの連休の初登のようでトレースがまったくない状態が最後まで続き、ルート中2泊のツエルトビバーグにより何とか切り抜けることが出来た。 5月1日朝6時30分に大谷原を出発、大川沢は1回の渡渉で抜け、荒沢では残雪が多く複雑なスノーブリッジをこなして午前8時に取り付きに到着した。 尾根への急登を約1時間40分でこなし、尾根が痩せてくる標高1800m付近ではキノコ雪の乗り越しで何回かロープを出していると時間が過ぎ、第一クロワールに着いたのが午後2時を回っていた。クロワールは、氷の上に新雪が載った状態でダブルアックスなら楽しめただろうがシングルでしかも縦走用では不安を感じた。 第1クロワールを抜けナイフリッジを慎重にこなしていると今日の目標の天狗の鼻までが時間切れとなり、第2クロワールの手前の急な雪面に穴を掘り1人用のツエルトに無理やり3人が潜り込み翌朝を迎えた。 2日朝、昨夜から続いていた強風は弱まり絶好のクライミング日和となった。 午前8時に第2クロワールをこなし午前11時に天狗の鼻に到着、北壁や荒沢の景観を楽しんだ後、いよいよ岩稜帯へと向った。岩稜帯取り付きまでの急斜面は初心者同伴のためスタカットで進んだ。下部岩壁と上部岩壁は雪と氷が着いていなければ簡単そうであるがシングルの縦走用のピッケルでは非常に怖い思いをした。 上部岩壁を抜け北峰直下東側の恐怖のナイフリッジを抜けたのが午後6時前。北峰頂上から南峰のコルに下ったのが午後6時20分、見上げる南峰を明るいうちに越えるのは無理と判断しツエルトによる2泊目のビバーグ体制をとった。 夜半から、風上側に構築した雪壁が押し倒されそうな強風を一晩中受、寒い思いの一夜を明かし、3日午前8時に冷池山荘に到着した。下山は赤岩尾根の標高2200m付近から西沢を降り午前11時30分、無事大谷原の駐車場に到着した。 天狗尾根は、雪の状態が良く、トレースがあれば単独でもこなせそうであったが、天候の変化や、パーティーの力量に応じて臨機応変な危機管理が出来る実力をつけ挑まなければならないと反省した。 |
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大川沢の渡渉。朝一番の冷たさは体にこたえます。 | 荒沢の残雪は複雑でルートファインディング能力が必要。 |
ロープの見えていないところが垂直の雪壁 | 標高1700m付近から見上げる爺ケ岳 |
不安定なシュルンドがあちこちに散在する。 | 斜度35度の雪面に穴を掘ってのビバーグ |
ビバーグ地点から見上げる天狗の鼻 | 第2クロワールへ向う |
天狗の鼻にて | 北壁をバックに岩稜帯に向う |
上部岩壁に続く雪面(左側斜面) | 北壁上部に掛かる強大な雪庇 |
急斜面のトラバース(キノコ雪を避けるルートを取るため) | 初心者の雪壁登攀訓練 |
カクネ里をバックに雪壁を登る | アンカーの強度テスト |
五竜岳とキレット | 東尾根との合流点(2日目にして始めて見る他人のトレース・左上が北峰) |
北峰東面のナイフリッジの通過 | 強風を避ける為に工夫したピッケルのアンカー |
1日目の狭所に懲りて芋虫が三つのビバーグ | 安全地帯に到着(南峰頂上にて) |
鹿島槍ケ岳から北に伸びる後立山の峰々 | 冷池山荘にて |
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